東北地方太平洋沖地震 被災地視察報告

平成29年3月27日、当社記者は「東北地方太平洋沖地震」被災地、宮城県亘理郡山元町を取材した。
 記者は長野県東筑摩郡朝日村役場の職員に同行し、27日の午前中に集中して、山元町役場被災者支援室、山元町社会福祉協議会やまもと復興支援センター、山元町臨時災害エフエム放送「りんごラジオ」、元山元町立中浜小学校建立現地、および新設防波堤を視察した。

 仮設山元町役場被災支援室(=写真1)では県内外の多数の臨時職員が活躍し、同室班長の伊藤千春さんは「山元町民憲章(※1)に即した支援を多岐にわたり活動しています。」と話していました。
(写真1)
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※1 【山元町町民憲章】=明るく住みよい和のあるまちをめざして郷土を愛し、きれいな町をつくります 生きがいのある、あたたかい町をつくります 教養を深め、文化のかおり高い町をつくります 健康で楽しく働ける町をつくります みんなの力でゆたかな町をつくります

 山元町社会福祉協議会やまもと復興支援センター(=写真2)の桑野知美さんは東京からの支援者。支援歴7年で大学在学中(平成29年3月27日現在)。震災は桑野さんの帰国4日後に発生、その1ヶ月後にはこの震災の支援に入りました。3月末で約110名の支援者が在籍し、4月には支援者の入替が始まるとのことで、桑野さんはこの支援者組織をコーディネートしてします。
(写真2)
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 山元町臨時災害エフエム放送「りんごラジオ」(=写真3、4、5)は、被災後6年に渡り地元ライフライン等の情報を町民に提供する大事な情報源となってきましたが、平成29年3月31日で閉局になりました。活躍の模様は、3月29日のテレビ朝日「報道ステーション」、3月31日のNHK「ニュースウオッチ9」の中で紹介されました。被災地におけるコミュニティ放送局は、当初の60局から30局に減少し、同放送局長高橋厚さん(74歳)は同ラジオ局閉局に伴い3月31日をもって退任されました。
(写真3)
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(写真4)
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(写真5)
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 被災した山元町立中浜小学校建立の現地(=写真6、7、8)を訪れました。被災後6年を経過していますが、当時の面影が現存し私にとっては被災の深刻さを感じる一番の場所でした。
(写真6)
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(写真7)
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(写真8)
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平成23年3月11日15時50分大津波が襲来、同小学校児童52名、同教員等12名、同保護者・地域の方々等23名に加え町職員3名の合計90名は校長指示で屋上に避難しました。翌日、平成23年3月12 日早朝6時、自衛隊のヘリコプターが90名全員を救助しました。以下は、山元町が公表した大津波襲来時の状況(※2)です。
※2 第1波は、民家を土台ごと押し流し、第2波は1波の上に乗り上げる形で高さを増して校舎に押し寄せ、校舎東の壁で水しぶきを上げ、2階天井にまで達した。さらに大きく、校舎を飲み込むほどの高さの第3、4波が迫ってきたが、沖合で第1、2波の引き波とぶつかり、避難していた屋上に達することを辛うじて免れた。この間、児童には津波を見せないようにするために、屋上屋根裏の倉庫に避難させ、扉を閉めていた。津波が治まってから、倉庫あった段ボールや衣装ケース等で寝床やトイレを作り、避難時に手にしていた懐中電灯2個と、流されずに残っていた非常用毛布やブルーシートで寒さをしのいで一夜を明かした。夜中も余震が続く中、励まし合いながら不安と寒さに耐えた。(=平成25年11月12日・山元町事業計画調整室開示)

被災沿岸地区6部落おいては約4,000棟におよぶ壊滅的な被害が発生しましたが、沿岸には高さ7.2mの防波堤が新設(=写真9、10)されました。今でも工事が継続しており、沿岸地域は今後どのように被災から防護されるのかさまざまな課題が残りそうです。
(写真9)
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(写真10)
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 東北地震の惨状を垣間みた記者は、全国的にも注目視されている当地の牛伏寺断層が気がかりでここに簡単に紹介をしたい。
 「牛伏寺断層は、松本市から塩尻市を通る活断層で、糸魚川静岡構造線活断層系の中部区間を構成している。この地震の活動期間は1000年と言われているが、ここ1200年は主だった活動は確認されていない。30年以内の地震発生確率はおよそ14%で、50年以内の確率は20%にのぼる。地震関係の情報としても、この牛伏寺断層は全国でも筆頭に上げられている。」
 天災「地震」がもたらす人命の被害は甚大なもので、論争があった「想定外」がどこまで許されるかは、この東北地震後さらに明白に判断されるようになるだろう。この松本地域において、明日にも起こりえる地震を真剣に考えている人はどの程度いるのだろうか。今後もさらに災害についての取材活動をしていきます。

エフエムまつもとは、予期せぬ災害を想定し、常時真摯に防災を考える「災害時・防災時のコミュニティFMラジオ局です。」